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ウランガラスの放射線スペクトル分析研究
武蔵工業大学・環境エネルギー工学科に在籍中に、UG同好会のN会員が、「ウランガラス(以下UG)に関する放射線スペクトル分析」という、世界でも初めてと思われる研究をされました。UGをガイガーカウンターで測定した例は本などに紹介されていますが、これでは詳しいことは分かりません。今まで、世界のUG愛好者は、下記のような数々の疑問を持っていました。今回の研究結果は、2004年春の原子力学会で概要が発表され、また、2005年の日本原子力学会誌に世界初のUG放射能に関する学術論文として発行されました。ここでその一端をご紹介します。
なお、同論文は、学会のHPで全文が公開されています。場所は右記をクリック:「ウランガラスからのγ線スペクトル測定」(3MBのPDFファイル)。
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ウランガラスの放射能は何が検出されるのでしょうか? |
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米国と欧州で、違いはあるのでしょうか? |
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前世紀のものと、近代物とで異なるのでしょうか? |
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使用しているウランは、天然ウラン、それとも、劣化ウラン? |
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ウランガラスのベースは、クリスタルガラス(鉛ガラス)? |
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青色ウランガラスは存在するのでしょうか? |
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ウランガラスの中のウラン量はどの程度?
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鉛で遮蔽されたガンマ線検出器
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マルチチャンネル・ガンマ線分析器
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測定中のN会員
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ガンマ線スペクトル測定例
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資料提供:武蔵工業大学
測定は、鉛の遮蔽の中にUGを置いて、ガンマ線検出器を4096チャンネル分析器に接続し、スペクトルをパソコンに収集する。U235は0.18MeVのガンマ線を出す。U238のガンマ線は0.05MeVと弱くて測定できないのでU238が崩壊した娘核種Pa234のガンマ線1.1MeVを測定する。K40は1.4MeVのガンマ線を出す。
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残念ながら、青色UGは存在しないように思われる。青緑色蛍光を出して放射能がある青色ガラスは、カリガラスで、カリウム中のK-40の放射能が検出されたが、Uの放射能は検出されなかった。なお、青緑色の蛍光を出すが放射能のない青色ガラスはソーダガラスと思われる。 |
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近代のUGメーカー(米国フェントン社・ボイド社)のUGのウランは、劣化Uである。正確には、ウランを濃縮した後に廃棄保管されている「テイルU(Tail Uranium)」である。U235放射能とU238放射能の比率を取ると、半分程度のものが観察された。これは、劣化Uの濃縮度が0.3%と、天然U(0.7%)の半分程度であるためである。
なお、ごく最近、チェコ(ボヘミア地方)でUGの復刻版が製造され始めたが、これも劣化Uと思われる?劣化ウランは市販されているか、あるいは、米国政府から払い下げを受けたのかも。 |
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上記以外のものは全て天然ウランである。(戦前のUG、欧州のUG、上記メーカー以外の米国UG) |
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ボヘミア産と思われるガラスは、UGも非UGも、カリガラスである。それ以外の産地のものにはカリガラスは非常に少ない。これは、ボヘミアが海から遠いために、木の灰をガラスの材料に使用したためである。 |
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1900年頃のUGで、U235量が天然Uものより半分程度しか含まれていない測定結果があった。これは、クリスタルガラスかどうか不明だが、鉛のためにU235放射能が散乱して外部からの測定では、U235量が少なく測定されたのではないか、という仮説を立てている。 |
今後、日本のUGや天然U鉱石の測定、さらに、放射能値の大小からU含有量の推定などが予定されている。
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