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「アトムレンズ(トリウムレンズ)(放射能レンズ)」
2004年4月の武蔵工業大学での「ウランガラス(以下、UG)についてのおしゃべり会」で、TI会員が持参された放射能のあるカメラレンズを拝見しました。
その後、2004年8月に、雑誌「写真工業」の市川編集長からメールで問い合わせがあり、「写真工業」誌9月号に下記のような内容が記事になりました
この放射能のあるレンズを「アトムレンズ」と命名したこと、 |
他のレンズとの比較撮影結果では、非常に写りが良いこと、 |
通常(約400nm)の紫外線LEDでは発光しないが、短波長(約350nm)の紫外線で、青色蛍光を出すこと(新発見!)、
(★その後、強力な紫外線LEDを照射すれば、通常のUGのような緑色蛍光を僅かに出していることが分かりました。トリウムによるものか、あるいは若干のウランが含まれているのかは不明です。2005/01HP管理人追記) |
放射線計測協会で放射能を測定し、バックグラウンドの20-50倍のガンマ線があるが、カメラをずっと抱えていても、一般人の許容値よりずっと低いこと、 |
レンズの放射能はトリウムによるものであること。(正確には、トリウムのガンマ線エネルギーが60KeVと低くて測定できなかったが、トリウムが崩壊した娘核種のガンマ線を測定した。) |
レンズの放射能で、フィルムが感光することはないこと、 |
放射能のあるレンズは、以前からカメラマニアの間では噂されていたようですが、このように詳しく調査した記事は初めてではないかと思います。
さらに、同記事では、当UG同好会HPのことも紹介されました。
キヤノンの放射能レンズ
CANON製の交換レンズ(FL50mm)です。これはTI会員が持参されたもので、酸化トリウムを含んでいるので放射能がありました。バックグラウンドの10倍から100倍程度と、UGの放射能の最強のものと同じ位です。
トリウムの含有量は不明ですが、高屈折率の効果を得るには10−30%程度、含有していると想像されます(下記の米国HP参照)。 |
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アトムレンズとは?
(トリウムレンズとは?)
(放射能レンズとは?)
レンズに酸化トリウムを使って、屈折率の高いレンズを製造することは、1948年に米国で発明され、1953年に、ドイツのエルンスト・ライツ社のライカ(LEICA)が「ズミクロン(Summicron)レンズ」として採用し、「空気さえも写る」という素晴らしい評判を得たそうです。
ただ、このレンズは、数年で黄色く変色するということで、その原因はトリウムの放射能が影響していると思われます。トリウムの含有量は10−30%程度とされていますから。
(古カメラ好きのヘクトールさんのHPより、許可を得て右写真を転載)
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上記「ズミクロン・レンズ」は、350nmという短波長の紫外線を照射すると、写真右側のように青色の蛍光を出します。(世界初の発見?)。
月刊誌「写真工業」2004年9月号より、編集部の許可を得て転載。撮影は、つくば科学写真研究会・菊池芳文様。 |
右側は短波長紫外線照射時(青色蛍光)。 |
その後、日本でも、上記CANONのほか、下記の数社が、1970年頃まで製造していました。
ペンタックス(スーパータクマー:superTAKUMAR)。
UG同好会・TF会員の撮影されたもの。
左のF1.4/50mmアトムレンズは1967頃購入とのことで、同じスーパータクマーでも、1971年頃購入の右側F2.8/105mmレンズはアトムレンズではないとのこと。
nekocame(はまさん)のHPによると、ガンマ線測定値が、レンズ前面で1.160μSV/hr、後面で
6.990(自然界のバックグラウンドの100倍程度)、カメラ本体後面で
0.850(同じく10倍程度)とのことである。 |
左=アトムレンズ,右=非アトムレンズ |
ミノルタ(ROKKOR-PG, 58mm, F1.2)左側
画像を募集していたら、石川県のHKさんから、アトムレンズではない通常のレンズ(右側:F1.4)と比較した写真を提供頂きました。
左側は黄変しているのが分かります。
カタログでは1970年頃の製品のようです。 |
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オリンパス(ズイコー、55mm、F1.2)
こちらも、上と同じく、石川県のHKさんから、画像を提供頂きました。ありがとうございます。
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米国コダック社レンズ(エクター80mmF2.8、エクター135mmF3.5(右下写真)、1948年製)
カメラ本体はスエーデンのハッセルブラッド(HasselBlad)社製で、ハッセルブラッド1600Fという名機(左下写真)に付属していたとのこと。写真は、上記「写真工業」誌にこれらの機材を提供された燒リ隆男さんの撮影で、燒リさんは今も使用されているとのことです。 |
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米国の「放射能を含んだ一般消費財」のページ(下記)より、KT会員の翻訳
http://www.orau.org/ptp/collection/consumer%20products/consumer.htm |
「トリウム入りレンズ」
光学レンズを設計するためには、屈折の高いガラスを使用することが望ましい。屈折率がより大きいと、それだけ光をより多く曲げることが出来る。これでガラスの必要な湾曲を減らすことが出来るので、レンズはより薄くて、もっと軽くすることができる。1949年に、コダックのPaolis により、特許(トリウム12%、ボロン36%、ランタン12%、バリウム20%、カルシウム20%)が出された。後に、最高28%のトリウム酸化物を含むようになった。 |
トリウムを含んでいたことを知られるカメラレンズ:
米国製など:
GAF Anscomatic 38mm f2.8 (Anscomatic 726 camera)
Kodak Ektanar 38mm f2.8 (Instamatic 804 camera)
Kodak Ektanon 46mm f3.5 (Signet 40 camera)
Kodak Ektanon 50mm f3.9 (Kodak Bantam
RF camera)
Kodak, Aero - Ektars
コダックによって、第二次大戦中に作られた空中偵察写真撮影のためのレンズ。
Aero - Ektars(f2.5、178mm) は、トリウムの含有量が11ー13%とのこと。右の写真は、米国の知人Sorensen氏の所有で、かなり大きい。 |
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日本製のアトムレンズ:
Canon FL 58mm F1.8(前出)
SMC Takumar 50mm F1.4 (Asahi Optical Co.)(下記の学研訪問記事)
Super Takumar 35mm F2.0,(同上)
...Super Takumar 50mm F1.5(同上)
, Super Takumar 55mm F2 (同上.)
Super Takumar 6x7 105mm F2.4 (同上.)
Super-Multi-Coated TAKUMAR (F1.4 , 50mm)
旭光学(Asahi Optical CoJapan)が名機ペンタックスの交換レンズとして販売。 |
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その他:
ミノルタ(ROKKOR-PG, 58mm, F1.2)(前出)
オリンパス(ズイコー、55mm、F1.2)(前出)
Yasinon-DS 5 |
ペンタックス(スーパータクマー:superTAKUMAR)。
左はF1.8/.50mm
ガンマ線を測ると、前面0.5μSV/hr、後面1.50μSV/hr
右はF1.4/50mm
前面2.0μSV/hr、後面8.0μSV/hr、とかなり高い。(自然界は0.1μSV/hr)
また、レンズは黄変している。(AK氏より入手、2011/10) |
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学研訪問記
2010年5月、学研のカメラ雑誌「デジキャパ」の編集者よりメールがあり「所有しているレンズを鑑定して欲しい」とのことで、UG同好会会員のYJさんと一緒に拝見しました。10本ほどのレンズを拝見しましたが、放射能があるのは、下記右側のSMC Takumar 50mm f1.4 (旭光学.)1本だけでした。
放射能は、レンズ裏側(カメラ側)で、バックグラウンドの10倍程度でした。従って、レンズをずっと抱いて寝る等しなければ、あるいは30cmも離れれば、全く放射線の影響はありません。
また、紫外線(LED式、レーザー式、蛍光灯式、殺菌用)を当てて見ましたが、いずれも蛍光は見られませんでした。
右側がトリウムレンズ
SMC Takumar 50mm f1.4 (旭光学.)
左は参照用で透明なので、右側のレンズは黄変していることが分かる。、 |
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下記は当日の鑑定風景。なお、ウランガラスの実物をお見せして、UGパンフレット、妖精の森ガラス美術館パンフレット、ラティーフ工房製のUG携帯ストラップなどを差し上げました。
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右側のウランガラスは、ロシア製のウランガラスのゴブレットで、1850年頃に、ロシア皇帝ニコライ1世がサンクトペテルブルク市の皇室ガラス工房「Fedorvsk
brothers」に作らせたゴブレット。
紫外線照射下での写真は、学研殿の撮影。 |
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