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放射能測定器(放射線検出器)
ウランガラスかどうかを見分けるのは、蛍光色が黄緑色かどうかが一番簡単な方法ですが、ガラスハンドブックによると、緑色の蛍光を出すガラスもあるようなので、絶対的な決め手は放射能測定ですね。放射線測定器は次の幾つかがあります。
1)お勧めの放射線測定器「SOEKS-01M」
最新型ガイガーカウンター 放射能・放射線測定器
(ロシア製) 。
www.amazon.co.jp/SOEKS-01M-最新型ガイガーカウンター-放射能・放射線測定器-RADEXシリーズ同様型検
(あるいは、アマゾン書店で「SOEKS-01M」と検索)
物質の放射能を測定したり、あるいは身の回りのホットスポットなどが気になる方にお勧め。2011年112月にアマゾン書店で買うと、13,800円(配送無料)でした。本体=約60g(電池2個付属)
国民生活センターの評価では、バックグラウンド(空間線量値)は東京当たりでは通常、毎時0.06マイクロシーベルトのはずが、0.12と2倍程度の値が出ています(ノイズを拾いやすいのでしょう)。一方、放射性セシウムを測定した結果では、高精度の検出器と同程度(誤差10%程度)の測定が出来る、とのことです。
SOEKSはベータ線も測定してしまうので、ガンマ線だけを計るときは、周りをアルミ板で覆う必要があるようです。(ベータ線は人体に(火傷以外の)放射線障害を起こさないので、人体への影響ならガンマ線だけを測定しなければなりません)。
携帯電話サイズの軽さだし、カラーで表示されるなど、ロシア製と思えないスマートさです。
オークションや、他の店では1万円以下で買えるかも知れませんが、平均値計算をしてくれるのは、アマゾンで売っている最新型のモデルだけです。
日本語マニュアルもついていますが、使い方はすごく簡単です。真ん中のボタンを数秒押してから、右側のボタンを押せば、10秒で最初の数値が出ますが、10秒毎に測定値が更新され、2分前までの平均値がデジタルで出ます。「0,12」と出れば「毎時0,12マイクロシーベルト」ということです。マンションでは、木造より高い数値が出るかも知れません。(密閉性の高いマンションではラドンなどの蓄積があるため)
放射能の高い物質に近づけると、ピピピピ・・・と連続的に音が鳴ります。(ウランガラスとかでも) |
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2)無料で借りられる放射線計測器「ガンマ君」と「ベータちゃん」
東海村の放射線計測協会から「はかる君」というガンマ線計測器を借りられます。
2010年、上記機関の貸し出し業務は中止となりました。現在は、関西原子力懇談会から借りられます。但し、貸し出しは学校などの教育機関だけで、個人では借りられなくなりました(2012年)。
「ガンマ君」と「ベータちゃん」の両方を借りると良いでしょう。大きなUGにはガンマ君、小さなUGにはベータちゃんが適していると思います。費用は無料で、1ケ月貸して頂けます。
http://www.kangenkon.org/shiraberu/kiki/kiki.htm |
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3)ロシア製ベータ・ガンマ測定器「ANRI」
大阪の「鉱石店やまもと」で買えます。(TEL/FAX:0724-94-1461)
12,000円。非常に安いです。ガンマ線の測定感度は「はかる君」よりは、かなり劣りますが、まあまあ使えます。なんと云っても、裏にベータ線測定用の窓が付いていて、これではかると、非常に良いデータが出ます。ネックレスのように、ウランガラスが小さい場合も、ちゃんと測定できます。以前買った蛍光が殆ど出ない花瓶も、これで測ったら、UGと判明しました。
2001/11現在、輸入していないとのこと。 |
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4)ロシア製ベータ・ガンマ測定器「RKSB - 104」
ロシアのBELVAR社製で、型番は「RKSB - 104」あるいは、ロシア文字を間違えて「PKCB - 104」と読んだりしています。同じものが、「Voltcraft
HS-034」、あるいは「Radian - 104」として、各国で製造販売されています。
京都の「クリスタルワールド」社で買えます。(TEL:075-257-3814。FAXは3815)。12,000円。非常に安いです。ガンマ線の測定感度は「はかる君」よりは、かなり劣りますが、十分使えます。裏蓋をはずすとベータ線測定用の窓が付いていて、これではかると、非常に良いデータが出ます。
2001/11現在、在庫なしとのこと。
2003年7月に新型が入荷した模様(値段=2万円)
2008年5月現在「取扱いを休止した」とのことです。
グーグルなどで「ガイガーカウンター」で検索すれば、日本での取扱店が見つけられると思います。
英語の説明書しかないので、下記に使い方を書いておきます。
@ガンマ線の測定
左上のSWを上側にします。右上のSWを上側(OPN)にします。最後に右下のSWを上側(ON)にします。約20秒間の測定後に4桁の数字が出ます。ウランガラス(UG)が無い場合(バックグランド)で例えば「0200」と出たら、0.01倍して、2マイクロ・シーベルト/毎時、ということです。そして、UGを測定して、バックグラウンドを差し引けば正確な値が出ます。
シーベルトは人体への影響度合いなので、ガンマ線だけで評価するようです。この測定器には、20秒間の測定値を100で割ると、マイクロシーベルト/時間、が出る、と書いてあります。従って、上の例だと、200/100=2μSV/hrです。要するに、ガンマ線だけを測定して、1秒間のカウント数(上の例では10カウント/秒)を5で割れば、2μSV/hr になる、ということです。
所で、人体に全く影響が無い範囲として、年間5mSV(年間合計値=5ミリシーベルト)が規定されています。仮に、上の2μSV/hrのウランガラス器を抱いて毎晩寝ると、
2μSV x 7hr x 365day = 5mSV なので、一応OKですね(笑)。
なお、測定精度を上げたい時は、左上のSWを下側にして、約5分間の測定後に出た数字を0.001倍します。
Aベータ線の測定
裏蓋をはずして、UGに2本のガイガー管を接します。後は上と全く同じです。なお、この場合、ガンマ線も測定されてしまうので、正確には、上の1番の測定で出たガンマ線測定値を引き算します。
B右上SW(OPNとS/B)の違い
右上のSWは通常、上側「OPN(オペレーション))にしておきますが、何度も測りたいときは、右下のSWは「ON」にして、右上のSWを「S/B(スタンバイ)」にしておきます。この状態では18秒ごとに自動測定し、18秒後にゼロへ戻ります。右上SWを「S/B」から「OPN」にすれば28秒間の測定が開始され28秒後に停止します。この測定器は、SWを入れ始めて時間が経つと測定感度が20%程度下がるということですので、安定な状態で測定する場合にこの方法を使用します。
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4)ドイツ製「ガンマスカウト」
これは茨城県のMHさんがお持ちのものです。さっきの「鉱石やまもと」などで買えます。
。これはアルファ、ベータ、ガンマの三つとも測定できて、特にガンマ線は20Kev以上と、U238のガンマ線が測定できるので良い製品と思います。ただ、先日、渋谷で試験した時には、UGのウランの量が少なかったせいか、ガンマ線がバックグランドと差がない結果でした。
ネットで「ガンマスカウト」あるいは「GAMMA SCOUT」と検索すれば、幾つも出てきます。値段は4-5万円。
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5)ロシア製ガンマ測定器「DRGB-90」
これは2006年にインターネットで米国から買ったものです。値段は5000円程度と格安ですが、ガンマ線しか測定できません。
ただ、ガンマ線が入るたびに、ピッと音が鳴るのと、メーターが針式のアナログ的で面白いと思いました。 |
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講義「ウランガラスからはどういう放射線が出ているか?」
以前から、ウランガラスから出てくる放射線について、気になっていたので、放射化学の教科書を引っ張り出して、勉強しました。30年以上前に、三宅千枝先生の講義で使った物です。(「核化学と放射化学」丸善出版)
1)まずは、ウラン238から。
ウラン238
(半減期45億年、アルファ崩壊) |
⇒ |
トリウム234
(24日、ベータ崩壊) |
⇒ |
プロトアクチニウム234
(1分、ベータ崩壊) |
⇒ |
ウラン234
(25万年、アルファ崩壊) |
放射化学の教える所によれば、物質の放射能は、原子数に比例し、半減期に反比例します。さらに、親核種の寿命より娘核種の寿命が短い時(上のような例)では、いわゆる「放射平衡」が成立し、親と娘の放射能は同じ値になります。上のケースでは、母親と、娘と、その孫娘がいるので、結局、U238原子1個が崩壊する時に、ベータ崩壊を2回する、即ち、ベータ線(電子)が2個出る、ということになります。45億年に比べれば、24日や1分は一瞬ですから、ウランから直接ベータ線が出ていると言ってもいいでしょう。
2)ところで、ウランにはU235が0.7%含まれているので、こちらについても調べて見ました。
ウラン235
(半減期7億年、アルファ崩壊) |
⇒ |
トリウム231
(26時間、ベータ崩壊) |
⇒ |
プロトアクチニウム231
(3万年、アルファ崩壊) |
こちらは、U235が1回崩壊する度に、1個の電子(ベータ線)が出るということになります。但し、「物質の放射能は、原子数に比例し、半減期に反比例」という法則で考えると、原子数密度が140分の1で、半減期寄与が7倍、というのを考慮しても、U238より1桁放射能が小さいということになります。
3)さらに、天然ウランにはU238と、U235のほかに、U234が0.0056%含まれています。量はU235の1/100ですが、半減期が25万年なので、次のように、放射能はU235よりずっと大きいのです。。
ウラン234
(半減期25万年、アルファ崩壊) |
⇒ |
トリウム230
(8万年、アルファ崩壊) |
こちらは、娘各種のトリウム230は半減期が長くて実際は崩壊しないと考えてよく、U234が1回アルファ崩壊するだけ、と考えてよいでしょう。
4)以上より、、「物質の放射能は、原子数に比例し、半減期に反比例」という法則で考えると、
核種 |
天然U中の存在量 |
半減期 |
放射能(天然U1g当たりのベクレル値) |
放射能(娘核種も考慮) |
U238 |
99.3% |
45億年 |
12,000 Bq/g-nat.U |
36,000 Bq/g-nat.U |
U235 |
0.71% |
7億年 |
600 BQ/g-nat.U |
1,200 Bq/g-nat.U |
U234 |
0.0057% |
25万年 |
13,200 Bq/g-nat.U |
13,200 Bq/g-nat.U |
となり、U235の放射能寄与は非常に小さく、U238とU234が同程度となります。さらに、上のベータ線の寄与を考えると、U238は3個(アルファ1個+ベータ2個)に対し、U234はアルファ1個のみなので、結局一番右側の列のように、U238の寄与が全体の7割を占めることになります。
ところで、ウランガラスの記事の中には「最近は劣化ウラン使用だから放射能が小さい」という記載もありますが、劣化ウランはU235とU234が天然ウランの3割になっているので、上のU235とU234の放射能値を3割にしても、全体ではU238の寄与が大きく、2割程度低下するだけです。
また、話は飛びますが、米国が湾岸戦争などで使用した劣化ウラン弾の放射能は「劣化しているから弱い」訳ではありません。単に、U235が天然ウラン(0.7%)より少ない(0.2-0.3%)というだけです。IAEAは「天然ウラン鉱石(各種の娘核種を含む)よりは6割低下する」とHPなどで書いてます。
なお、上のアルファ崩壊、ベータ崩壊は、いずれもガンマ線を出すのですが、そのエネルギーは50KeV程度で、U235のアルファ崩壊のみ200KeVと大きく、検出器の感度によっては、U235の寄与も多少あるかも知れません。
以上をまとめると、ウランガラスでは、ウラン(U238)が崩壊して、アルファ線、ベータ線、ガンマ線のいずれもが出てくる、と云えます。また、ガンマ線は透過力が強いので小さい検出器では測定しにくく、一方、ベータ線は適度な強さである為、測定しやすいと、思われます。(2003年4月、6月)
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