最近、米国にも同じ種類の陶磁器が戦前に製造されていたことを知りました。
「フェスタウェア(Fiesta Ware)」は1936年に、米国・西バージニアのHomer Laughlin
Company(以下HLC社)が製造を始めた陶器の食器で、5色のうち、赤色(鮮やかなオレンジ色または朱赤色)はウランを釉薬に使用していました。6価のウラン(UO3)は黄色または赤色をしており、いわゆるイエローケーキと同じ色です。HLC社の製品は非常に人気があったので、食器や紅茶茶碗、花瓶など、莫大な数の製品が製造されました。
ただ、ウランガラスと異なり、紫外線を当てても蛍光は出ません。
陶器の表面の釉薬の15%がウランで、食器1個に付き、平均5gのウランが使用されているとのことです。
写真の品は戦前のもの(1936-1942年製)で、直径17cmのサラダの取り皿のようです。
なお、1943年にはウランの使用が禁止され、HLC社のウランは政府に没収され、製造が不可能になりました。その後1959年にウラン使用禁止が解除され、劣化ウランを使用して製造が再開されましたが、赤色が薄いとされています。戦後の10年間だけで200万個が製造されましたが、1969年に生産が終了しました。
放射能測定器では、30000 CPM(1分間に3万カウント)で、この内、アルファ線は1500-2000
CPM 、ベータ線は16000-18000 CPM 、ガンマ線は10000-12000
でした。これは、自然界の放射能の500倍、普通のウランガラスの100倍程度の非常に高い放射能を持っています。1m離れていても、放射能が検知できるほどです。
「Fiesta Ware」の皿
(鮮やかな朱赤色がウラン釉薬によるもの) |
裏側に「GENUINE」Fiesta」「HLC,USA」とある。 |
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(2010年2月記事) |